寄稿記事紹介(AIによる発明について)

尼崎工業会さまの会報誌『AIAニュース』(AIAニュース No.197 令和6年7月19日発行に掲載いただいている、弊所寄稿記事「知財の小噺」をご紹介いたします。
※本記事の内容は、2024年7月時点での最新情報です。
※寄稿記事のWEB掲載については、尼崎工業会さまに許可を得ております。

AIは発明者になれるのか? ~DABUSプロジェクト~

DABUS(ダバス)と呼ばれる人工知能(AI)が自律的に創作した発明について、知的財産権による保護を求める国際プロジェクトが進行中であり、AIの発明者適格性について各国特許庁で議論・検討がなされています。
DABUSの発明内容は、世界知的所有権機関(WIPO)が無料で提供する特許文献検索サービス(PATENTSCOPE)で誰でも閲覧することができます。

Device for the Autonomous Bootstrapping of Unified Sentience(統合知覚力の自律ブートストラップデバイス)の略語。Stephen Thaler博士により開発された人工知能システム

公開番号WO/2020/079499(23.04.2020)国際出願番号PCT/IB2019/057809(17.09.2019)
出願人THALER, Stephen L. [US]
※ミズーリ州のAI企業「イマジネーション・エンジン」の創業者でCEO。
発明者DABUS, The invention was autonomously generated by an artificial intelligence
※「ダバス、発明は人工知能によって自律的に生成された」と記載されている。
発明の名称FOOD CONTAINER AND DEVICES AND METHODS FOR ATTRACTING ENHANCED ATTENTION
※食品容器と注意を喚起し誘因するための装置及び方法
発明1 フラクタルと呼ばれる幾何学歴な形状の食品容器。保温効果、結合可能、握りやすいなどの特徴がある。
発明2 神経反応を模した人の目を引きやすい、点滅可能なライト。
WO/2020/079499号公報より引用

現状、日本・韓国・アメリカ・欧州・オーストラリアでは「発明者は自然人(人間)に限られる」旨の判断が示されており、DABUSの発明は登録(権利化)されていません。実体無審査制度を採用している南アフリカでのみ、DABUSの発明が登録されています。DABUSの発明をきっかけとして、各国特許庁でAIが創作した発明をどのように取り扱っていくべきか議論が続けられています。

知財ワンポイント

いまのところ、日本での発明者は「自然人」に限られる。
つまり、AIは発明者として認められない。

※法改正や新たな判例の登場等により、記事の内容が現在の法律や知財を取り巻く状況とは異なる場合があります。