寄稿記事紹介(『くまのプーさん』の著作権)

尼崎工業会さまの会報誌『AIAニュース』(AIAニュース No.198 令和6年9月20日発行)に掲載いただいている、弊所寄稿記事「知財の小噺」をご紹介いたします。
※本記事の内容は、2024年9月時点での最新情報です。
※寄稿記事のWEB掲載については、尼崎工業会さまに許可を得ております。

原作「クマのプーさん」一部の著作権が終了

近年、「クマのプーさん」の著作権切れ(パブリックドメイン化)が話題となりましたね。
著作権切れしたのはA.A.ミルン氏の「原作」に関する一部分だけであり、原作で描かれているE.H.シェパード氏の挿絵や、日本語翻訳版のほとんどが著作権存続中です。
著作権存続中のものに関しては、無断利用すると著作権侵害で訴えられる場合があるため、注意が必要です。

プーさんの著作権が切れている部分米国原作1作目「クマのプーさん」の文章および挿絵
日本原作1作目「クマのプーさん」
原作2作目「プー横丁にたった家」の文章部分のみ

注意

Disney®版「くまのプーさん(Winnie the Pooh®)」の著作権&商標権は存続中
Disney版「くまのプーさん(Winnie the Pooh)」は原作とは別物です。
あの有名な「丈の短い赤い上服を着た」プーさんはDisney®のオリジナル要素であるため、勝手に利用した場合はDisneyの著作権や商標権を侵害することとなります。
※「黄色いくまのぬいぐるみ」などの要素は原作に記載されているため利用OK。

著作権切れをきっかけに制作されたホラー映画

「プー あくまのくまさん」 (原題:Winnie-the-Pooh: Blood and Honey)は、2023年に公開されたイギリスのホラー映画で、親友ロビンに見捨てられたプーさんが殺人鬼となるストーリーです。

Disney版プーさんの著作権を侵害しない範囲内で、プーさんを連想させる要素(黄色いクマ、赤色の洋服を取り入れるなど)をうまく残して製作されています。話題の人気作品となり、他の著作権切れキャラクターたちが悪夢共演を果たす続編「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」が2024年8月から公開されています。

キャラクター自体に著作権はない!

キャラクターの存在自体には、著作権はありません。そのキャラクターが登場する小説・映画・漫画や、そのキャラクターが描かれたイラストなどの「著作物(創作物)」に対して権利が生じます。

日本の著作権は、著作者単位での扱いとなっています。例えば小説において、文章を執筆した人と挿絵を描いた人が別である場合、著作権もそれぞれ独立して存在します。
なお、翻訳された文章にも別途著作権が生じるため、利用する際には注意が必要です。

知財ワンポイント

日本の著作権存続期間は、著作者が著作物を「創作したとき」に始まり、
原則、著作者の「生存している期間+死後70年間」

※法改正などにより、記事の内容が現在の法律や知財を取り巻く状況とは異なる場合があります。